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反転攻勢

医薬分業だけではなく、世の中の分業が進んでいくと、アリの社会のように個人というものが失われていく。あらゆる個人は判断力を必要とされない社会が実現され、そのこと自体に疑問を持たず、唯々諾々として生きていく『理想郷』のようになってしまう。マニュアル化された薬剤師の調剤業務にも言えるし、薬舗主の会から専門職団体への改革ができない薬剤師会にも言える。元国立衛生試験所の内山充先生が薬剤師会を『愚者の楽園』と評した。これもまたひとつの『理想郷』である。

それに抵抗するためには、いつもことの本質がどこにあるのかをみきわめようと努める努力がいる。私たちは薬局で、団体で、毎日さまざまな判断に迫られる。情報が増え、社会は複雑になり、限りある時間の中で判断をすることはけっして簡単なことでない。

先日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長が「薬事は究極の医療倫理」と言った。政策誘導と産業化のなかで生きてきた薬剤師に倫理は荷が重い。なにより、こればかりは自分達で考えなければならない。薬剤師の判断を社会に活かすために必要なのは「知の逆転」であり、無知の集合化ではない。 日本薬剤師会の会長は「反転攻勢」と言ったが、これは中医協の診療報酬調剤報酬改定で「調剤」が一人負けしたことかなにかだろう。