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イレッサ訴訟

イレッサの副作用被害を巡る訴訟は司法が国と製薬会社を「免責」する格好で終結した。争点は間質性肺炎に関する添付文書の表記がPL法に照らして瑕疵であるか、という点だったように私は理解しています。

添付文書を読むのが私の仕事です。慣れてくれば、添付文書上のどこに、どんな表現で書かれているかの意味が分かります。しかし、この書き方なら、背景にはこんな事情があるだろう、というようなもう少し深い読み方ができるような医師、薬剤師はそんなに多くありません。私はたまたま新薬の承認審査に関わってきたので、分かりますがみんながそう読めるなんていうことはけっしてありません。

判決は「副作用情報に関する指示・警告に欠陥はなかった」との立場を貫いたが、イレッサ承認から2年半で、間質性肺炎を発症して557人が死亡したという現実があります。
医療現場で医師が情報を得るのは製薬企業のMR(情報担当者)からだという調査結果もあります。添付文書に瑕疵がなかったとしても、「夢の新薬」と鳴り物入りで紹介された製品のプロモーションに問題がなかったとは言えないでしょう。

製薬企業と国に責任がないとして、使用した患者のみに受忍を求めることが相当か疑問が残るのは当然です。製薬企業のプロモーションコード、医師の側の倫理(利益相反)に関する整備はまだ緒に付いたはかりです。それが整備されても中立な立場から患者さんへのリスクコミュニケーションが必要であるし、それが薬剤師の仕事の本質であることを、今回の判決で再確認しました。