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富山にて

能登半島の氷見を訪れ
海中から天にそびえるような立山連峰に感動した
ざんねんながら携帯カメラでは写らない

レンタカーを返し冨山駅前を歩いていたら
突然「昨日はどうも」と声をかけらた
「あ・・・」
寿司正の若旦那が子供二人をつれて歩いてきた

僕らは「げんげ」という魚をまだ食っていなかった
開いていそうな店を教えてもらった
なんてフレンドリーな人たち、また来ますよ冨山に


前夜、冨山駅に近い総曲輪の寿司正のカウンターには常連客が5-6人
まだ3ヶ月くらいだらろう店の赤ん坊を
女性客が嬉しそうにあやしている
ビールを飲みながら男性客はカウンター越しに
板場のご主人と話している、もう一人30歳くらいの板さんが若旦那だ

二階の席にも大勢の客がいるらしく小さなエレベーターで
寿司や空いた食器が上がったり下がったり
お嫁さんは赤ちゃんを客に預けて大忙しだ
他に二人の子供が店で遊んでいる

僕らは隅に座ったのでちょっと注文し辛い
なまこ酢、島鰹をつまみに地酒をいただいて
地さかなの握りを注文した
これでまた違う地酒を2本飲めた

お勘定をおえて帰ろうとしたら
手が空いたご主人が話しかけてきたので
もう一度カウンターに腰掛けた
どこから来たのか、なんていう他愛もないはなしから
話し込んでしまい苦労話まで聞かせてくれた

彼は東京の寿司屋で4年間修行して
最初にこの店の近くで開業した
ところが都会の商売は通用しない
富山県とはいえ彼は砺波出身のよそ者だ 
商売しようとすれば旅行者とはまた別の顔があるのだろう

数年前にテナントだった店を出てこの店を買った
そこからようやく地元の人たちに認めてもらえた
今夜の店の活気はどうだ
「こうして地元に受け入れてもらえるまでに40年かかった」
彼は目を細めて店内を見渡した

ANAホテルと提携し、
ツアー客のディナーを寿司に変えられる仕組みをつくった
二階の大勢さんはそれだ
僕らにしても、訪れた者にとって
地元の人たちの生活に触れ、話が出来るのは何より嬉しい
自分の仕事が一段落してご主人はビールを飲みながら
若旦那、お嫁さんもときどき加わり一時間くらい話してしまった

冨山は回転寿司さえ美味しいらしいが
僕はそうまでして寿司が喰いたいわけではない
寿司通なら寿司栄という店が旨いとガイド本には書いてある

他にも何軒か候補はあり
決めかねて雨の中を覗いて歩いた
寿司栄は硝子越しに店内がよく見える

きちんとした店だ
しかし、お客さんまできちんとしている
(こりゃあ、ちょっと趣旨が違うな)

ここにも酒がないわけじゃあないが
この店で僕みたいな飲み方、喰い方をしたら
お寿司に失礼だろうなあ
そういう意味じゃあ僕にとって回転寿司と大差ないのだ
ご主人は僕らが気に入ったらしく
寿司とは、酒とは、冨山とはなんていろいろな話に飛ぶ

寿司職人が寿司にこだわるのは悪いことじゃないが
あくまでお客様が中心でなければならない
僕は若いころにはいろいろなこだわりがあったが
年をとるにしたがい、そんなもの、どうでも善くなった

こだわりがアイデンティティーだと思っているようでは
人生は楽しめない

ご主人によれば、こだわって、こだわって
魚の良いところだけ出せば
残りは捨てるのだが
それも料金に入っていることを忘れちゃいけないのだ

ウチの酒はこれしか置かない
なんて言わないで
酒だって僕は、なんでも飲んじゃう

今回の旅で心に残ったのは
氷見から見る立山連峰、
「剣岳 点の記」や「黒部の太陽」を思い出しながら
風景に涙が出てきます

もう一つは
「こうして地元に受け入れてもらえるまでに40年かかった」
という寿司屋の主人のことば

冨山にもロードサイドに「回転寿司チェーン」をたくさん見た
価格と利便性で支持されていることは間違いない
もちろん板さんの顔は見えない

なぜ調剤薬局チェーンはどんどん出店できたのか
地域密着を謳うドラッグチェーンは本物か